6.202023
【第1回:フィジカルインターネットについて考える】
【第1回:フィジカルインターネットについて考える】
<フィジカルインターネットとは?>
聞きなれない言葉だと思いますが、「フィジカルインターネット」とは
経産省国交省が推進する「次世代の物流システム」の事です。ロードマップが2022年に作成され、経済効果と2040年までの0エミッションの実現を目指したSDG’sの要素も持つ施策です。
この考えは、インターネットのパケット交換の概念を物流プロセスに適応させ、デジタル技術を活用して物流の可視化、効率化などを図ることです。
<フィジカルインターネットに至る社会的背景>
1990年から現在に至る物流業界の構造的な変化は著しく、1990年代初頭まではトラックドライバーの年収はが1990年代から2000年代、そして現在に至りECの急成長により物流コストが急上昇したにも関わらずドライバーの賃金水準が上がらない、人手不足等で業界は「物流コストインフレ」に陥っています。
且つ労働力不足から物流需要に応えられない「物流クライシス」、ドライバーの労働環境是正を目的とした「2024年問題」、そして温室効果ガス削減などの「環境問題」が我々物流業界の現在の社会的背景となっているのです。
これらの社会背景に対し、経産省、国土交通省が新たな「物流システム」の構築に着手。荷主・物流側双方のニーズの解決を目指すことになりました。この新しいシステムが「フィジカルインターネット」です。
出典:厚生労働省「賃金構造基本統計調査」
<フィジカルインターネットのコンセプト>
「フィジカルインターネット」のコンセプトは「デジタルインターネット」のコンセプトの応用。
つまり「デジタルインターネット」でいうところの「パケット」(Fileなどの通信用の単位)「ハブ」(回線を中継するモデムなど)「プロトコル」(EDIなどの通信方法やしくみ)の3つの要素を物流に応用し、荷主・物流業者間で共通のプラットフォームを構築して物流最適化を目指しています。
つまり「フィジカルインターネット」とは
- 「積替」を前提として輸送経路に共有の拠点(ハブ)を設け
- 貨物を受け渡しする荷姿単位(パケット)を統一し
- 物資を効率的に輸送(プロトコル)しようとする、新しい「物流システム」の考え方
となります。
今回はここまでとさせていただきます。
第2回以降は
<フィジカルインターネットの身近な成功例>
<フィジカルインターネットが実現する未来>
<フィジカルインターネット実現に向けての課題>
について述べていきたいと思います。
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